ヌハドン大通り沿いには木々やお店がずらりと並んでいる。

桜の名所としてよく知られているようだが、今のような秋にもとても歩きやすい場所だ。

青空の下を歩いていると、すぐに街が色とりどりの紅葉に染まるような気がするだろう。


最近、ヌハ洞は新しい建物やお店が次々と目に付くようになった。

新しさには興味が湧くものだが、今までの慣れ親しんだものが薄れていくときは寂しい気持ちになる。

そのような時、昔からしっかりとその場所を守っているいくつかのお店を思い出した。


その中でもヌハ洞のど真ん中に位置する「ソイロウム」は、長くはないが、慣れと不屈の精神でその場所を守ってきたような印象の、

あえて分類するならばビーガン食堂と言えるだろう。ソチョン(西村)にはソイロウム以外にもいくつかのビーガン食堂がありますが、

他の近所のカフェや食堂のように気軽にソイロウムを行き来する人々で、今日もヌハ洞と翡翠色の外観は秋の風景とよく調和しているのだ。

<Chapter1.ソイロウム>


ソイロウムはどんなところですか? 名前の意味や、どんなお店なのか紹介をお願いします

ソイロウムは、すべての動物性食材を一切使わない植物性デザートや料理を作るカフェ兼レストランです。ソイロウム」という店名には2つの意味があります。 まず、頭文字の「ソ」を「so」にすると、英語で「とても」という意味になります。ここに「イロウム」つまり「良くさせる・良さを加える」という言葉をつけると、非常に有益な食べ物を目指すという意味が生まれます。

二つ目は、前の二文字である「ソイ」を英語の「soy」に置き換えると「大豆」になります。私たちの料理は通常、大豆という食材をベースに作っていますので、「豆腐や大豆をベースにした私たちらしい料理」「~な料理」という意味で、オリジナリティを追求しようという意味です。


ビーガンフードとはどういう意味ですか?他の飲食店と比較して、何か特別な点はありますか?

一言で言えば「純植物性」です。ただし、「ビーガン」とは、ただ単に野菜だけを使うという意味ではなく、動物に関連するすべてのものを排除することを意味します。その段階は少しきびしいです。例えば、蜂蜜は植物性の食材のように思えますが、ミツバチの労働力を利用して得られた食材なので動物性の食材です。なので、蜂蜜はビーガンに属さないのです。それ以外にも、食材の成分表を見たときに、ビタミンの一種が素材をベースにして抽出されている場合、その食材自体はビーガンとして扱えません。 直接的なものであれ間接的なものであれ、すべての動物性を排除したものを「ビーガン」といいます。


単に「肉」を使わないだけではなく、食材の準備・購入から調理の過程まで、動物性の材料をすべて排除するということですね。

そうです。ベジタリアンの種類はいくつかの段階に分かれており、様々です。 その中でもビーガンは最も厳しいレベルです。


代表もビーガニズムを実践していますか?

日常生活で自分でコントロールできる部分は、できるだけビーガンで生活するようにしています。もともと肉類があまり好きではないこともありますが、ビーガンレストランを運営しているため、だいたいビーガン食になることが多いです。


では、食べ物だけでなく、使っているものもビーガンを目指しているのでしょうか。

すべての商品をビーガンにしているわけではありませんが、努力はしています。 最近はビーガン認証を受けたスキンケア製品がたくさん出てきているので、今後はもっと増えていくと思います。 3年後には化粧品の棚の半分以上がビーガン製品に変わるのではないかと期待しています。


ソイロウムをオープンしてもう4年くらい経つと思いますが、オープン当時はビーガニズムを目指す人が今より少ない時期だったと思いますが、ビーガンレストランを開業しようと思ったきっかけがをありますか?

まさかこんなに早くお店を開くことになるとは思っていなくて、いつの間にか社長になっていました。 自分の料理を作って販売することへの憧れは以前からあったのですが、遠い未来のことのように漠然としていました。 でも、両親が私がビーガン料理を作るのを見て、お店をやろうと言ってくれたんです。 私たち家族はとても行動力がある方なので、両親と一緒だったので、お店の契約からアイテムの選定までが早く決まり、一気呵成に進んだと思います。


ホンデのヨンナム洞でビーガンベーカリーのポップアップもやっていたそうですね。

本格的に事業を始めるという感じではなく、自分で考えたアイテムが人々に受け入れられるかどうかをテストする期間を持ちたかったんです。 当時はブログを見て来てくださる方が多かったので、一日中お店を運営する感覚を経験することができました。


お店を始める前は、ビーガン関連のイベントにたくさん参加されていたんですね。

はい、当時は私が大学の学部課程を修了しただけで卒業していない状態でした。 時間がとても多かったので、これから何をしようか迷っていた時期でした。 経験も浅く、いろいろな進路を迷っていた時に、ベジタリアンの会を開催することになりました。 そして、会のメンバーから「ビーガンフェスティバル」というものがあるので参加してみないかと提案されました。 その時、私が作った料理が販売されているのを見て、ビーガン料理を販売してみようと決意しました。 そういった経験が積み重なって、2017年にソイロウムが誕生したと思います。


個人的に、ソチョンは伝統と現代的な面が調和している場所だと思います。 ソイロウムもビーガニズムという持続可能性を追求しているということで、同じように調和されていると思います。 では、代表様がソチョンという場所に店をオープンされたきっかけは何でしょうか?

場所を探すために、ソウルの良いところは全部見て回りましたが、実は大した理由はありません。その中で、私の祖母が有名な巫女さんを訪ねたのですが、私たちの家から「真西」の方角は避けて「北西」や「東南」の方角を向くように言われたそうです。 実は家の真西の方がビーガンで有名な望遠(マンウォン)、合井(ハプジョン)の方角だったんです(笑)。その話を聞く前までは、望遠、合井洞の方でやってみたいと思っていたのですが、何か気になりました。その後、幸運にも出会った西村のこの場所が、私たちが考えていた条件に一番合っているように思えました。 実際にソチョンに来てみると、良いところがたくさんありました。 景福宮が近くにあるので、ビーガン料理だけを食べる外国人の方もたくさん来ていましたし、私が住んでいる家からも遠くないです。 巫女さんが言ったように北西にもありますし(笑)。


<Chapter2.身体に良い食材とメニュー>


お店の運営はチョン・ミジン代表とご両親が一緒にされているように見えますが、メインシェフは誰が担当しているのでしょうか?

メインシェフは私の母です。 私は食材の検品やレシピ開発、ベーカリーを担当していますが、お店でほとんど料理を作っている人は母です。 私はビーガン料理や植物性食材の知識はあるのですが、料理の腕は少し足りず、母は料理の腕はあるのですが、ビーガニズムについての知識が少し不足していました。 そうやってお互いの補完しあうことで相乗効果を発揮しているのだと思います。


ビーガン料理は一般的な料理よりも食材が限られていますから、食材に関する研究が特に必要だと思います。 主にどのような食材を使いますか?

ビーガンマヨネーズやハンバーグなど、完成品はたくさん出ていますが、なるべく自分たちで作って使うようにしています。 この方法が一番材料に対して信頼できるからです。また、私が必ず守っていることの一つは、食材にGMO成分が含まれているかどうかを把握することです。 GMO食品の使用の是非の判断は相対的なものですが、私はGMO食品の安全性については不安があります。


自分なりの基準がありますね。

そうですね。 あと、原材料名がわからないものは検索してみて、問題がないかを必ず確認します。 フライドポテトも冷凍品を使うともっと便利ですが、成分を見ると大豆油やキャノーラ油があるんです。 この場合、GMO成分が含まれている可能性が高いので、使わないようにしています。 それ以外は野菜を使っていますので、難しいことはないです。


ソイロウムには、テンペタンス、テンペ丼という特別なメニューがありますが、実はあまり聞きなれない「テンペ」について説明をお願いします。

私が知っている範囲内で言えば、テンペは韓国の青汁/味噌、あるいは日本の納豆のような発酵大豆食材の一つです。私が知っている範囲内で言えば、テンペは韓国の青汁/味噌、あるいは日本の納豆のような発酵大豆食材の一つです。 納豆はベタベタした感じですが、テンペは「バー」の形で固まっているので、焼いたり揚げたりすることができ、活用度が高いです。 また、発酵大豆食材の中では、人々に抵抗感が少ない方でもあります。青のりって匂いが強いですよね。納豆もネバネバした食感で抵抗感がある人もいますし。テンペは好き嫌いが少ないので、キムパプの材料として使ったり、時には揚げたり煮たりすることもできるので、たくさん愛用されているようです。 また、タンパク質が主成分なので、肉の代わりになるメリットもあります。


メニュー開発のインスピレーションは主にどこでどのように得ていますか?ビーガンレシピがあまり多くはないですから、試行錯誤は無数にあると思います。

メニューを研究していた頃は、海外のレシピをたくさん参考にしました。 日本には年に1回は必ず行きますが、その度にビーガンフェスティバルに足を運んでいました。 アイデアを得ることができる食べ物がないか、使える食材がないか、現地のビーガンレストランのメニューがどうなっているのかに注目して、試してみたいメニューをテストしてみたりしました。メニューを研究していた頃は、海外のレシピをたくさん参考にしました。 日本には年に1回は必ず行きますが、その度にビーガンフェスティバルに足を運んでいました。 アイデアを得ることができる食べ物がないか、使える食材がないか、現地のビーガンレストランのメニューがどうなっているのかに注目して、試してみたいメニューをテストしてみたりしました。その繰り返しで、うちのメニューにある「タコライス」もそういう過程で生まれました。 ビビンバみたいな感じで、ソースさえ作っておけば簡単だろうと思って作ったメニューです。 それまでもいろんなメニューに挑戦してきましたが、ひっそりと消えたものも実はたくさんあります。(笑)


これまで開発されたメニューの中で、一番気に入っているメニューはありますか?

今でも忘れられないメニューが一つあります。 初めに「ビーガン寿司」を販売したことがあります。 日本の地元のビーガンフェスティバルで初めてビーガン寿司に触れて、私にとってはとても新しい世界でした。 野菜で寿司を作るなんてとんでもないことだと思いました。 お店を開いたら必ずやってみようと心に決めていました。その後、なんとか作ってみたんですけど、食材の維持や回転率、調理時間を考えると効率が悪いので、さようならと送り出してしまいました(笑)。また、残念なメニューのひとつは「ビーガンパンケーキ」です。 同じように日本でビーガンパンケーキで有名なお店で食べてみて、バカバカしいと思いました。 プレートもとてもきれいで、韓国に行ったら必ずビーガンパンケーキを売ろうと思い、自分なりに研究を重ねてパンケーキの上に乗せるビーガンクリームも作りましたが、ビーガン寿司と同じような理由でやめました。 今はメニューにはありませんが、外国人のお客さんの中でパンケーキをお探しの方もたまにいらっしゃいます。


今残っているメニューで一番好きなものは何ですか?

今あるメニューはどれも愛着がありますが、あえて一つを選ぶとしたら、「タコライス」ですね。 日本でタコライスというメニューを食べて研究して、実際に自分のお店で販売を始めたのが、ここまで愛されているのはとてもうれしいです。 そんな時は、タコライスを食べて、覚えて練習した思い出が思い出されます。


ビーガン料理=野菜と思われる方がたまにいますが、私はとても多様なビーガン料理がたくさんあると思います。 ソイロウムでこのような偏見を打ち破るメニューがあれば紹介をお願いします。

私のおすすめは「ハンバクプレート」です。ハンバクプレートはビーガン/ノンビーガン問わず多くの人が訪れ、通りすがりに偶然注文する人も多いです。動物性食材を使わないビーガンメニューだと、もしかしたら知らないかもしれませんが、気にせず食べてみる方が結構多いです。 意外と残飯もとても少ないです。 ハンバクプレートはビーガン入門コースとして良いようで、おすすめメニューを聞かれたら断然「ハンバク」をおすすめしています。


<Chapter3.ソイロウム、そしてチョン・ミジン代表>


ビーガニズムを決意したきっかけは何ですか?

最初はダイエット食から始めました。 以前から体を健康にする食べ物に興味があり、肉を食べても豚バラ肉ではなく、脂肪の少ない部位や鶏の胸肉を食べたり、健康のために野菜をたくさん食べる食習慣を身につけました。 健康的な食べ物に興味があるうちに、ある瞬間、当たり前のように食べていた動物性の食べ物が本当に体に良いのかという疑問が生じ始めました。今までは肉でも栄養成分さえ良ければいいと思っていましたが、今はこの食材がどこから来たのかということを考えるようになりました。 そうすると、動物性の食材を使わなくなり、植物性の食材を探すようになりました。 ベジタリアンセミナーにもよく参加したり、食に関するクラスを受講したりして、専門家の方のお話を聞いて、少しずつ価値観が変わったと思います。


私はサムギョプサルと焼酎が好きな生活から、現在はペスコベジタリアン生活をしています。 そのためか、最初は周りから「一体なぜ?」 と質問される方が多かったです。 そのため、代表の周りの方の反応はどうでしたか?

今でもたまに大学の同級生と会う時は、私の価値観を他人に押し付けたくはないので、できるだけ友達と会う時には、一緒に食べられるものを中心に食事をするようにしています。 嬉しいことに、私の周りには善良な友達が多いので、私を特別な人だと思うより、管理が上手だと思われるようです。 とても感謝しています。


京都に留学されたそうですが、その時の経験が、ソイロウムを運営する上で、あるいは生きていく上で、どんな助けやインスピレーションになりましたか?

京都留学時代は私の人生のターニングポイントです。 もともと漫画に興味があり、日本に留学したんですが、京都に行くと、大都市ではないのに、ビーガンオプションのレストランやカフェがたくさんありました。面白いのは、京都の特産品が「野菜」なんですよ。 「京野菜」という、文字通り「京野の菜」という特産品があります。 京都内でしか採れない野菜の品種があるので、それを特産品化したもので、その中でも「豆腐」と「豆」が特産品です。 そのためか、京都にはビーガン食が多くて、自然に食べていたものがどんどん経験として積み重なりました。 最初はダイエット食に興味があったのですが、京都留学後からビーガン食に興味を持つようになりました。


お店の他にやってみたいことは何ですか?昔、日本語教室や茶道教室もやっていたようですね。

日本語教室は、私が作ったビーガンベーカリーと一緒に、日本語の勉強をしたいという軽い気持ちで始めたと思います。 茶道教室は、ヨガを2年ほどやっていたときに、そこの院長がメンバーを集めてワークショップを企画したいと言ってくださったので、茶道を習っていた私が、浴衣を着てお茶の入れ方を教えてあげたりしました。私は一つのことだけに集中するタイプではないと思います。 色々なことをやってみて経験することが幸せにもつながるようです。まだ決めているわけではありませんが、飲食店を経営しながら、いろいろなことをやってみたいと思っています。


<Chapter4.インタビューの終わりに>


ビーガニズムという概念が以前より一般的になり、持続可能性、エコのようなテーマも自然にソイロウムの運営に多くの影響を与えていると思います。 ソイロウムを運営する上で、今後さらに進むべき方向、あるいは進みたい方向はありますか?

最近はエコな包装材についてよく考えています。 お店を運営する上で、ゴミをできるだけ出さないように努力していますし、最近よくやっている「容器チャレンジ」みたいなこともやってみたいと思っています。 周囲のベジタリアンカフェや飲食店の店主さんとは仲が良くしているんですが、見習うべき点がたくさんあります。 あるカフェはスコーンの包装に生分解性の包装紙を使っていて、そういうのを見ると尊敬の念が湧いてきます。 これからも自分の目指す方向に向かって、少しずつ実践していきたいですね。


食事をしながらの会話を終えて、ずっと関心を持って生きているうちに自然にビーガン食堂をするようになったというチョン・ミジン代表の言葉を考えてみた。 なんとなく感じていたソイロウムの堅実さは偶然ではなく、ビーガニズムの概念からさらに環境と動物のために良い一歩を踏み出そうとするソイロウムの小さくても強い方向性と実践を応援してみる。

健康的な食事の後、私たちの周りを良くさせる話をもっともっとしたい翡翠色の空の下の秋の日だ。


文|西村遊戯         写真|西村遊戯

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